人工知能は、人間にとって最大の脅威、でしょうか? ロボットは力で地球の支配はしなくとも、コンピュータは、今後10年ほどの間で、私たちに仕事を失う、という事を突きつけてくることは確かだと語られています。
少し違う観点をもつ人の話を見てみましょう。
この人はジョエルと言います。ウガンダのグルという街から数キロ離れた彼の家の前に立っています。彼はここで14人の兄妹たちと暮らしています。
2017年の売上が11億ドルほどの米国の主要なオンライン不動産取引を提供する Zillow のために、ジョエルは働いています。彼の隣人たちは、Google、Microsoft、Walmart、Marriott、Salesforce、Yahoo、TripAdvisor、Box、Getty Images、eBay、Deloitte といったシリコンバレーのハイテク企業で働いています。本当です。
これが、彼がオフィスに入る時に見るスクリーンです。
ジョエルは Samasource で働いています。増加しつつある AI 技術を提供する企業の1つで、彼らが最も必要なものはデータ:正確であるよう、データをトレーニングすることです。何故これが必要なのかというと、あらゆる流行言葉にも関わらず、自動運転の車は、以前として誰かが運転の仕方を教える必要があります。この例で具体的に言うと、自動運転車はビデオ配信機能を持ちますが、ビデオ画像のどのラインが電柱を表わしているのか、また、どれが道路標識を表しているのかは、未だに誰かが判断する必要があります。アルゴリズムは、新しく入ってきたイメージやビデオで、2つを区別するために十分なトレーニング画像が必要です。皆さんは、何と言っても、車を電柱に当てるのではなく道路へ行きたい筈です。
それが、データのトレーニングとデータの強化を提供するビジネスが生まれる場所です。
ジョエルが働く Samasource は、現在増加しつつある、AI 企業にデータトレーニングのキュレーションと強化をクラウドソースする機会を提供する組織およびプラットフォームの1つです。こうした考えは以前よりありました。この最もよく知られたパイオニアは、Mechanical Turk サービスを提供する Amazon です。ここでは、企業は、シンプルなマイクロタスク(図のアノテーション、センチメント分析、コンテンツモデレーションなど)を依頼することができ、安定したインターネット接続があれば誰でも、そうしたマイクロタスクを実行することでお金を得ることができました。企業はタスク毎に報酬を支払い、Amazon は、タスクに対する支払いをする前に、そのプラットフォームを切断します。
Amazon ほどの規模があったため、これはそれなりに上手く行きました。しかし、このモデルには改善の余地がありました。Amazon Mechanical Turk の大きな問題の1つは、広範なネットにキャスティングをして、タスクを行う作業者にトレーニングを提供する事は殆どなく、品質は保証されなかった事です。各タスクは少なくとも2人以上の作業者に公開されるという計画を提供し、もし彼らが同じ答えであった場合に、その結果が有効であるというものでした。しかし、これは管理された専門の作業者ではありません。
Appen、Gengo、MightlyAI などの企業が、事前トレーニングを提供し、特別のタスクセットに対して厳しく品質を保証することで、こうしたギャップを埋めようとしています。以下の写真は、ドローンを使って再生可能エネルギー施設の検証を行う企業 bird.ai の例です。 彼らのビジネスが大きくなるにつれ、マニュアルによる分類を拡張する必要がありましたが、信頼できる予測モデルをもつものにリプレースするには、十分なデータがありませんでした。
正確でアクション可能な分類には、作業者の画像レビューは、損傷のタイプに関する専門性が必要で、これには十分なトレーニングが必要です。また、そうした企業は、一般的には、タスク毎ではなく、作業時間による支払いをしています。よって、数をこなす事へのプレッシャーは少なく、より品質を求めます。
Smasoure や CloudFactory のような組織のビジネスモデルにとって次に重要な要素は、彼らの労働力に対し、より注意を払っている点です。彼らはこれを、クラウドソーシングではなく、インパクトソーシングと呼び、彼らの働くコミュニティ内で違ったことをすることに大きな注力を払います。彼らは、基礎およびデジタルリテラシースキルのトレーニングを企画し、彼らが雇う人がよくもつ保育の課題に対処し、アノテーション作業以上の仕事がしたい作業員に対しキャリアコーチングを提供します。ただお金を支払をするのではなく、生活改善、地域福祉という観点からこれを見ています。Samasource のオフィスは、サンフランシスコ、ニューヨーク、パリにありますが、作業は、ウガンダ、ケニア、インドなどで行います。CloudFactory は、ケニアとネパールに作業員がいます。
明らかに、AI は、仕事を奪うだけではありません。画像の区別は、あまりエキサイティングな仕事ではないかもしれませんが、正しいコンテキストとサポートを提供して、こうした企業は、真にコミュニティを高めるものを提供しています。企業の社会的責任プログラムの中で、”Data for Good (社会をよくするデータ)”、”AI for Good(社会をよくするAI)” といった気取ったイニチアチブを宣伝する企業が多くなりましたが、Samasource や CloudFactory などの企業の賞賛すべきビジネスモデルは、皮肉なことに、”Good for AI(AI にとってよい)”という方向に向いています。データトレーニングを行わないことは、本当に”Bad for AI(AIのためにならない)“に繋がる可能性があるのです。
ここで触れた企業は、世界中で仕事を創造しています。インターシステムズもまたそうです。もし AI革命という仕事に参加したいとお思いでしたら、当社のキャリアページをご覧ください。
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ベンジャミン・デボー
インターシステムズ 、データプラットフォームのプロダクトマネージャで、拡張性と分析を担当。iKnow社の合弁により2010年にインターシステムズ 入社。さまざまなデータベース技術、特にデータウェアハウス、自然言語処理、分析一般の分野で活躍。