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グローバルサミットで科学者がロザリンド・ピカード博士から学ぶべき3つのこと

ロザリンド・ピカード博士とご一緒に、 インターシステムズグローバルサミットで AI の未来について議論できることを大変光栄に思います。ピカード博士は、アフェクティブ・コンピューティングの発明者です(その言葉自体を創造しています)。その研究の道のりを、ピカード博士は、このように述べています。

「これに関するすべてをやり終えた時、科学とは真実は何かを解明しようとする事であると気づきます。たとえそれが、私たちにとって不快なことであっても。」


 
ロザリンド・ピカード博士から科学者が学ぶべき重要なことは3つあります。それは、たとえ不快なことでも真実を見つけること、患者にどこを見るのかを言わせること、疾病と戦うことです。

アフェクティブ・コンピューティング:不快な真実

ピカード博士は、どのようにアフェクティブ・コンピューティングを発明したのでしょう。彼女が脳の機能を模倣するコンピュータの開発に携わっているとき、ピカード博士は、リチャード・サイタウィック医師の研究に出会いました。彼の書著「 The Man Who Tasted Shapes」は、人が音楽を聴いている時に、形を感じて色を認識するという条件「共感」について記しています。研究者は、脳の活動に注目しました。感情、記憶、注意力を司る脳のパーツが注目されました。当時殆どの研究者が中心であると考えられていた大脳皮質は、遮断されていました。

これにピカード博士は大きな恐怖を覚えました:認識においては、感情が重要な役割を果たしている可能性がある。感情が重要であると提言することは、彼女の「まじめな」女性科学者という信頼を損ねるかもしれない。そして、この研究にエンジニアリングツールを持ち出すことを決めました。また、厳格で強固な測定方法を活用し、ここに何か真実があるかを解明して行くことにします。なぜなら、確かにそこには感情があるよう思うからです。

感情を客観的に測定することは、難しいテストが必要でした。ピカード博士は、感情の状態を認知する機械学習を、まずは開発しました。 Affective Computing という彼女の本の中で、Affective(感情的な)とComputing(コンピューティング)という言葉を繋げました。これがこのコンピュータ科学分野の始まりです。1992年に始めてから今日までに、アフェクティブ・コンピューティングは、潜在的によく分からない理論から、世の中に受け入れられ人気となった研究分野となりました。

「重要かもしれないと思っていた何かは、実際に重要であると、やっと分かりました。重要さは、より客観的な方法で測定でき、さらに、機械がより賢くなる手助けとなります。」

ピカード博士と同僚の研究者は、感情の健康は、健全な身体、健全な精神、健全な関係性、健全な社会的感情など、膨大な意味が含まれていることを学んでいます。そしてこれらは、すべて相互に関連しています。彼女たちは、これらの問題をもつ人の支援をするテクノロジを作ろうとしているのです。ピカード博士の言う「AIを真に賢くさせるもの」と対比しながら。

自閉症とアフェクティバ: 患者の声を聞く

ピカード博士は、発作のリスク管理を支援し、感情のよりよい理解を助けるウェアラブル技術の開発を先導してきました。それは、自閉症の実態をよりよく理解することから始まりました。ある日、その患者は彼女に言いました。

「ロズ、私の最大の問題は、他の人の感情にあるのではありません。先生が私の感情を読んでいないことが問題なのです。先生には、私のストレスが分かっていないです。私は大きなストレスと心配を抱えていますが、先生はそれが分からない。」

ピカード博士がすでに開発していたセンサーツールは、ストレスを測定することはできましたが、センサーはポータルなものではありませんでした。自閉症患者にとって負荷が多いことを彼女が学ぶにつれ、よい測定をするには検査環境にストレスが大きすぎだと、彼女は気づきました。学校で1日中ぐるぐる巻きのコードを子供につけさせるのは、無理があります。手も洗えず、ジャンプやトランポリンもできず、校庭を走り回ることもできません。

「子供たちのいるところで検査をする必要があります」そして、検査をする機器は気持ちよく装着でなければなりません。」ベビーソックスや下着のように。

テクノロジをウェアラブルで装着できるように開発し、ピカード博士とそのチームは、発作から新しい神経パターンまですべてのデータを、絶え間なく取り続けました。ピカード博士は、理解されているという患者のシンプルな状態が、ブレーススルーを導くことを経験し、それを反映しています。そして、現在、彼女は、てんかんをもつ精神疾患に対する、心の状態、ストレス、健康状態の予測に取り組んでいます。もし、彼女たちがどこを見るべきかが分かっていなければ、こうした大きな発見が可能であったことを考えもしなかったでしょう。

うつ病のための精密医療:自殺の連鎖を救う

ロザリンド・ピカード博士には使命があります― うつ病と自殺の連鎖の波を変えることです。長期的な障害が、米国における疾病の記録的No.1 の負荷でありつづけ、癌よりもより多くの命を奪い、より多くの医療費を費やしています。

ピカード博士とそのチームは、私たちが得意でない事を支援することと、大切なこと、よりよい関係性をもつこと、よく眠れること、自分自身そして他人の面倒をよくみることなど、私たちがより心地よくなるためにAIを開発しています。こうした知識は、80%ものうつ病事象の予防の手助けをするでしょう。

「はい、この大きな潮流を止めることは確実」なように少し思えます。しかし、これらデバイスで測定できることを詳細に見ると、この潮流に立ち向かう多くの知識とテクノロジを私たちは持っています。

最初のスマートデバイスは、気分の追跡と悪くなるのかよくなるのかの予測しかできませんでした。データは、自殺の連鎖の潮流を変えるには不十分で、ボストンの天気予報のようなものです。そして、これは、悪くなっています。自身の特定のデータに基づき、明日は「悪い日」になると聞けば、1日のクオリティを改善するのにデータが有益なはずです。

彼女たちが現在取り組んでいるウェアラブルは、個人データからのエビデンスが何を示すのかと、よい友達に電話をする、お菓子を食べる、元気に走りに行く、または、睡眠不足であれば早く休むなど、その日と通しての推奨アクションを提示するものです。こうした小さな行動が、健康と気持ちに、大きな改善をもたらす可能性があります。なにが手助けになって、いつ手助けするのかを知ることは夢です。健康、睡眠、感情は、私たちが直面しているメンタルヘルス危機を癒すためには不可欠です。

ピカード博士が、メンタルヘルスの改善という理想を実現し、健康になる方法を患者に与えることができるようになることを、個人的にも私は願っています。

注)アフェクティバ: MIT Media Lab から2009年に独立し、ピカード女史が創設したベンチャー企業。

 
著者について

ジェイニー・シャープは、医師自殺の救済を支援している。医師とメンタルヘルス専門の非営利企業シャープインデックス社の創始者兼 CEO。医療データと分析マーケティングにより、サービスを受けられない人の医療アウトカムの改善にも努めている。ジャニーは、技術製品のコミュニケーション創出に長け、企業のマッチングによって優れた医療ITシステムを作り、医療を改善することに真の情熱を注いでいる。相互運用性と健康の社会的決定要因に取り組み、患者、医師のエンゲージメントの専門家である。3人の子供をもち、勉強、ハイキング、トライアスロン、キルトなどを楽しんでいる。
Twitterアカウント@CoherenceMed
 

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