ジェームス・コリンズ博士は、AI と機械学習を活用して抗微生物薬耐性を終了させるというミッションに取り組んでいます。コリンズ博士は、MITの医学工学および科学の生物学教授および生物工学の教授であり、合成生物学の研究に基づくいくつかの企業を立ち上げています。コリンズ氏によると「物理的なシステムに適用される一般的な原理は、生きている有機的システムには上手く適用できない」と言います。そして、これが彼にとっての課題-物理世界と生物世界の溝を埋める―となっています。
コリンズ氏は、合成生物学は、生態系を工学的見地から見る事から始めると説明します。単純にどのような働きをしているのかを理解するのではなく、合成生物学は細胞をリバースエンジニアリングし、求めるアウトカムを創造することが可能かを決定する必要があります。これがコリンズ氏とそのチームの「生物学に存在する回路の中に我々が作れるものは何か」という質問に繋がります。この答を即座に見つけるために、コリンズ氏とチームは機械学習を使って、生命の記述に関わる膨大なデータを処理しています。そして人の遺伝子の30億の塩基対の分析を含め、その研究は始まったばかりです。
創薬と副作用の軽減
「私たちは抗生物質の時代に生き、抗生物質耐性に向けた新たなソリューションを探しています」(ジェームス・コリンズ)
ペニシリンの発見から91年の記念すべき日が近づき、抗生物質の製薬開発は停滞しています。MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)は、米国だけで年間2万人の死亡原因となっています。その多くは、女性と子供です。抗生物質の時代で生きていますが、今、抗生物質耐性に向けた新たなソリューションを私たちは求めています。
合成生物学は、義足の表面感染を検知し、菌膜の最上位層に効果のある医薬品の開発を強化しています。これは、バクテリアを特定し、その治療を意図した特定の感染にだけ効能のある生物成分である場合もあります。可能性を考えます。AI によって設計された成分は、発展途上国でのコレラの特定と治療に使用できる可能性があります。エボラウィルスまたはコレラの基準株のプリントテストは、グローバルな公衆衛生に変革をもたらす可能性があります。より嬉しいことは、医薬品の生産と保存コストが下がることです。
病理学
画像処理は、機械学習が最も効率的に機能する1つの分野です。機械学習は、例えば、インターネット上の全てのネコを特定することが可能です。また、これは癌性のほくろの特定にも使用可能です。データサイエンティストは、ヘルスケア病理学を意味ある機械学習アルゴリズムによって、変革することができるのです。例えば、危険な懸垂線維腫の特定なども可能です。
スマートフォンの画像で癌性のほくろを特定できる、または、その皮膚の赤みが危険であると分かるようになってきています。ポータブルインテリジェンスはかつて、費用がかかり専門家によってでしか利用できませんでしたが、今日、開発されつつあります。これにより、皮膚病学の分野同様、世界の医療を変革する可能性を秘めていいます。
機械学習が、病理学を病理学者以上に診断可能になるという見通しは、現実的でないいとは言いきれません。特定の型の組織癌は、機械学習によってより早く正確に特定できます。これによって、より早い治療の開始とコスト削減が可能になります。
遺伝子配列
コリン氏は、科学者と協力して人遺伝子の30億の塩基対分析のアルゴリズムを研究しています。これらの対は何をするのか。細胞の行動をどうコントロールするのか。人の遺伝子がマッピングされる時、サイエンティストは、遺伝子配列の組み換えに機械学習をどのように利用するのかを考え始めています。コリンズ氏は、生物学を深掘りし、遺伝学理解のための言語開発を行っています。例えば、特定の人は癌の治療薬に対して異なる反応をする、または、より早く代謝するなどがあります。治療薬を個別の遺伝的な二ーズによってカスタマイズが可能になるような深い理解ができれば、治療はより効率化できます。
機械学習と合成生物学が、公衆衛生の大きな改善をもたらすと信じることは現実的です。機械学習とコンピューティングアーキテクチャが継続的に進歩することで、AIアプリケーションは、これまで専門家でしか利用できなかった世界を広げています。AIやMLがもたらす変革と発見がどのようにもたらされたのか、そしてこうしたクリーンデータモデルをいかに充足させるのかについて、詳しくお知りになりたい方は、是非、お越しいただきたいイベントがございます。
間もなく開催されるGartner Symposium ITxpo ソリューションプロバイダセッションにて、ジム・コリンズ博士が “ How AI and ML are Making Breakthroughs – And How to Make Them Happen(AIとMLがいかにブレークスルーをもたらすか―そしてそのように実現したか)”と題した講演を行います(10月23日(水)3:15pm、Room4)。是非、お聴きのがしありませんように。
ジェイニー・シャープは、医師自殺の救済を支援している。医師とメンタルヘルス専門の非営利企業シャープインデックス社の創始者兼 CEO。医療データと分析マーケティングにより、サービスを受けられない人の医療アウトカムの改善にも努めている。ジャニーは、技術製品のコミュニケーション創出に長け、企業のマッチングによって優れた医療ITシステムを作り、医療を改善することに真の情熱を注いでいる。相互運用性と健康の社会的決定要因に取り組み、患者、医師のエンゲージメントの専門家である。3人の子供をもち、勉強、ハイキング、トライアスロン、キルトなどを楽しんでいる。
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