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患者の関与を高める:エンゲージメントの4つのルール

患者が自分自身のケアにより関与できるようにすると、人々がより健康になり、よりよい医療アウトカムを得ることができます。テクノロジーはそれを可能にする1つの原動力と考えられています。

しかし、患者の関与を可能にするテクノロジーは進化していますが、世界的に見て、多くの国では、患者の医療記録へのアクセス、予約、あるいは安全にメッセージで医師とやり取りするなど、共通の患者エンゲージメントオンライン機能の普及レベルは、概して低いと言えます。

多くの国では、患者が自身のケアにより関与することを目指していますが、それには、以下の点を考慮すべきだと考えます。

1.強い医師の反対があることを予期する

2017年9月に英国保健省長官ジェミー・ハントは「患者の力の10年」について語り、「医師と患者の間に3000年存在した主従関係が逆転し、患者が指先で利用可能になった情報を使って、現実的にコントロールするようになる10年」であると述べています。

実際、患者エンゲージメントには、患者と医師の関係において基本的な文化の変化が求められます。こうした変化は、それに関わる者にとっては、常に容易なことではありません。

特に、医師は、今起きている現実に、自分自身を対応させる必要があります。そして、これが簡単でないことは、世界中の多くの事例が証明しています。例えば、英国の Sowerby e-Health フォーラムについての調査では、かかりつけ医(GP)は患者の健康記録の共有をしたがらないと示しています。電子医療記録に患者がアクセスする利点が、リスクよりも上回るというGPは、ほんの1/4に過ぎませんでした。主に米国の医師ネットワーク SERMO のデータでは、医師の 2/3 がデータを患者と共有することに消極的です。

2. 患者は簡単には喜ばない

患者に自分のケア記録へのアクセスを保証することは、意味ある関与に必ずしもつながりません。例えば、議会の調査によると、イングランドで、患者がオンラインでケア記録にアクセスできるGP手術の割合は、2016年から2014年にかけて、3%増加し97%でした。しかし、患者がそのサービスを利用したのは驚くほど低く、わずか0.4%にすぎません。

実際、患者がケア記録にアクセスすることは、エンゲージメントのための前提条件にすぎません。患者が関与するには、自分の情報にアクセスすることで、特定の利益を得られることが必要です。

陥りがちなのは、患者エンゲージメントプロジェクトを、より一般的な医師の「ビジネスケース」または、「ケア改善」という視点で見ることです。しかしながら、患者は「私のために何があるのか」という視点で見ています。医療従事者の視点は重要ですが、こうしたプロジェクトで、最初で最大のニーズは、患者満足の維持です。

3. ターゲットを慎重に選択する

1つのサイズは、明らかにすべてには合わない

患者エンゲージメントプロジェクトは、電子患者記録あるいは地域健康情報交換導入の最終ステップであることが、よくあります。その場合、すべての患者は、関与の手段として、共通の単一ユーザ体験として、新しく作られたケア記録へのアクセスを持ちます。

しかし、それぞれの患者にはそれぞれのニーズがあり、別のエンゲージメント機能が必要です。例えば、妊婦は、不安があれば、患者ポータルを使って助産師に連絡したり、妊娠に関する情報を読んだり、地域のマタニティクラスに登録したり、新生児の予防接種のお知らせを受け取ることは嬉しいと思います。年配の糖尿病患者は、エンゲージメントポータルを、血液検査結果を見たり、最新の血糖値を地域の糖尿病担当看護師に送ったり、ラマダン時期の糖尿病に対処法についてのガイダンスを読むことに使いたい訳です。

それ故、異なる患者コホートを特定することから始め、カスタマイズした関与キャンペーンを作成すべきです。それぞれのこうしたコホートは、患者が好む豊富で十分な機能と、一方では、それらの提供が現実的であるかという点のバランスをとることが重要です。

4. 利益について注意深く見る視点をもつ

導入がよく見られる一方、すべてのエンゲージメント手法が、当初期待したほど利益が得られる訳ではありません。実際は、利害が混在していたり、あるいは、期待と反するものであったりすることもよくあります。例えば、最近の調査によると、一般に売られているウェアラブル機器では、24ヵ月では減量の改善はせず、遠隔監視機能のついた健康アドバイス電話サービスでは、心臓疾患患者の180日以内再入院は減らすことができません。さらに、電子タイマー機能のついた薬瓶では、処方通りきちんと薬を飲み続けることはできませんでした。

従って、特定の患者コホートといかに介入させるかを決めるとき、それが何で、何を達成したいのかを理解することが重要です。達成できる度合いの異なる広いサービス範囲を提供することで、得られるか不明な利益に関するリスクを軽減するような、利益に関する注意深い視点を持つべきです。

成功には、患者エンゲージメンとプロジェクトは、異なる患者コホートとそれぞれの要求を理解し、注意深い計画と実行が求められます。

 

Yossi Cohen
NHSの指導医であり、15年以上に渡り医療情報分野に従事する。前職は計算創薬会社Compugen社のR&D副社長として、ビッグデータ分析で新薬候補を発見する事業の責任者。
インターシステムズの医師エグゼクティブであり、InterSystems HealthShareへ臨床情報を実装してさらなる使い勝手を向上し、NHS組織のニーズ(高性能、患者安全、品質改善、およびコスト管理等)を実現した。
1996年にエルサレムのヘブライ大学医学部を卒業し、神経生物学の修士号を取得。その後、2002年にテルアビブ大学電気工学部を卒業。
 

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