私が医療機関で働き始めた頃の仕事のひとつに、放射線情報システム(RIS)で重複記録の可能性を調べる日報を作成することがありました。医療記録内の情報が正しく、実際に治療を受けている患者さんのものであることを確認することは、何十年にもわたって医療業界を悩ませてきた問題です。私が手作業でレビューを行っていた頃は、間違った情報を入力したり、検索中に既存の患者記録が見つからないなど、ヒューマンエラーに起因する問題が多く見られました。現在では、医療機関、保険会社、研究所、薬局など、医療エコシステムの中でデータを調達し、交換することで、この問題はさらに悪化しています。
単純な解決策としては、すべての人に国民的な患者IDを割り当てることですが、米国の法律はそれを許しません。業界では、患者とのマッチングを改善することで、この問題を解決しようと、長年にわたって多大な努力を払ってきました。
ONC (The Office of the National Coordinator for Health IT) は、患者照合を「患者の医療記録を包括的に把握するために、医療システム内および医療システム間で患者のデータを識別しリンクすること」と定義しています。何十年も前から行われており、最近の取り組みもONC Websiteに概要が掲載されています。
例えば、2021年の取り組みには以下のようなものがあります。
- Project US@ ヘルスケアにおけるアドレスの統一仕様
- FHIR at Scaleタスクフォース、Identity Tigerチーム
- USCDI (患者デモグラフィック)
- ONC ISA、患者デモグラフィック記録マッチング
課題があっても成功する組織
幸いなことに、多くの組織がEMPI(Enterprise Master Patient Index)またはMPIと呼ばれる技術を使って成功しています。当社の顧客の1つである Hunterdon Healthcare は、数十年にわたりニュージャージー州西部の患者の生命線としての役割を担ってきました。しかし、相互運用性が洞察と成果にとってより重要になるにつれ、このフルサービスの医療システムでは、臨床医が正確で完全な患者の健康データをオンデマンドで受け取ることができるようにする必要がありました。
Hunterdon が178床の教育病院を含む35の施設間で医療データの相互運用性を実現しようとしたとき、小規模なデータチームは6つの電子医療記録(EHR)システムと100以上のアプリケーションを考慮する必要がありました。さらに、Hunterdonはベスト・オブ・ブリードのアプリケーションに投資していたため、この取り組みはさらに複雑なものとなりました。
それは、患者を正しく識別するためのEMPIと、部門を越えてデータを収集するための統合ケア記録でした。それ以来、この取り組みにより、臨床医が必要なときに必要な場所で、1回のログオンで通知により重要なデータを提供できるシステムが構築されました。その間、Hunterdonのデータ専門家は、医療システムをフルパワーで稼働させるために必要なリソースと柔軟性を維持し続けています。
社内HIEによるデータ共有の推進
進化し続ける技術や規制の中で、大量のデータから洞察を得ることは容易ではありません。地域病院によくあるように、予算や人員の制約があると、この作業はさらに困難なものになります。小規模な独立病院のうち、データの検索、送受信、統合に相互運用性を活用しているのは、わずか13%です。Hunterdonは、当社の技術であるHealthShareのUnified Care RecordとPatient Indexを活用して、すべての臨床環境において記録がスムーズに移動するような縦断的記録を作成することで、これを実現しました。
Hunterdonが最近、近隣の大規模な医療システムと提携して放射線および外科センターを立ち上げた際、MPIはパートナーシステムのEHRの固有識別子と統合されました。Hunterdonは、Unified Care Recordを使用して、2つの組織間で患者データを集約し、共有しました。Hunterdonでは、正確なデータへの迅速で便利なアクセスにより、より個別化されたケアのための基礎が築かれました。
医療において、患者の正確な照合と識別という課題がすぐになくなるわけではありません。幸いなことに、Hunterdon社の話が示すように、全国的な患者IDができる遠い日を待つことなく、また私のような新入社員のアナリストをあてにすることなく、あらゆる規模の医療システムがこの問題に対処することができるのです。