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精密医療にとって、次の「キラーアプリケーション」はデータ

ある概念が確立されると、その考え方を打ち破るのが難しいことは、よくあることです。先月ボストンで行われたHIMSS Healthcare IT News Big Data and Analytics Forum でも、「キラーアプリケーション」の概念に関しては、それが言えるものでした。この概念は共通認識となりましたが、間違っていたとしても現実の見方を形成して、不幸なことに、納得できる限りはこれが事実を覆い隠す可能性があるのです。

それでもまだ、精密医療を前進させるような「キラーアプリケーション」は、この先他に出現するのでしょうか。この質問は、重要なことを見失っています。「キラーアプリケーション」という考え方が「木を見て森を見ず」と言えるのです。

端的にいうと、アプリケーションというのは、出現しては消えていきます。しかし一方で、データは残り、増加していきます。

精密医療の目指すものが、全てのデータを集約し、患者に関する真に複合的なビューを創造することであると私たちが合意するのであれば(NIHP精密医療イニシアティブおよび私の前稿をご覧ください [i])、これは、これまでの 電子医療記録(EHR)そのものになり、精密医療が求める複合的健康記録(CHR)ではなくなります。精密医療を支援する CHR は、ソースニュートラルであり、ベンダーニュートラルであり、かつ、包括的なものでなければなりません。

Facebook は、ユーザやニーズに依存する大量のデータが、多くの異なるアプリケーションから見ることができるデータストアです。Apple や Google のエコシステムについても同様です。私の電話は、アプリケーションを集めたものでなく、データを集めたもので、アプリケーションを通して見たり、アクセスをすることができます。データは、インターネット時代の主要な資産で、Google や Facebook のようなネットの成功企業は、既にこの事実を認識しています。多くの点で、ビジネスモデルは、より多くの情報を共有すればするほど、利益があがるという概念に基づいています [ii]。医療と精密医療の将来は、医療データがアプリケーションでなく、資産であり多くの異なるアプリケーションがアクセスすることのできる統一された医療データストアを提供することだという事実を受け入れる必要があります。

大規模アプリケーションのエコシステムに見るように、多くの医療アプリケーションは、使いものにならず、 [iii]1日使われて捨てられる、さらに特定の人にとってのみ使われるものであったりします [iv]。しかし、ごく一部のアプリケーションは、データを見る有用なインターフェースとデータに対応する方法を提供してくれます。こうしたアプリケーションは、私たちが所有し使用しますが、そこには、真に「キラーアプリケーション」というものは1つも、あるいは1セットもありません。

インターシステムズでは、多くのスタートアップ組織とビジネスをし、アプリケーション戦略ではなく、データ戦略に注力するよう助言をしています。これは、時として、ハードの販売であることもあり得ます。想像することに夢中になるのは人の本質で、私たちは視覚的動物であるため、キラキラしたボタンやカッコいいグラフィックスに目を奪われるのは、自然なことです。しかし、アプリケーションに注力し、データにしないということは、医療における真のイノベーションの基本的要素を見逃している事になります。

イノベーションは、これまでサイロ化されたデータセットのなかで起こっており、引き続き起こります。公衆衛生は、同じ疾病の原因と伝播を理解するために環境と臨床データが交差することで、150年以上前に革命を起こしました。今日のイノベーションは、臨床、ゲノム、請求、画像、デバイス、センサー、社会経済情報の集約と交差から、真に統合された患者ビューを生成することで、推進されます。

皆さまに、医療にとってのキラーアプリケーションが何かと尋ねられれば、私の答えは、シンプルです。それは、データです。

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