米国でのHL7® FHIR®の採用を義務付ける規制は、2024年に保険者にとって大きな注力点になります。 2024年1月17日、メディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)は、 Interoperability and Prior Authorization Final Rule <相互運用性と事前承認の最終規則>(CMS-0057-F)を発表しました。 この規則は、 Interoperability and Patient Access Final Rule <相互運用性と患者アクセス最終規則>(CMS-9115-F)に基づき、FHIR APIの利用を拡大するものです。 これらの要件に準拠するには、課題があるかと思われますが、データ交換のための最新の標準化されたフレームワークによってイノベーションを促進する機会も提供します。
2023年12月、FHIRの導入とイノベーションへの戦略的アプローチに関心のある保険機関に向けに、AHIPウェビナーを開催し、Point of Care PartnersのKendra Obrist氏と 医学博士であるInterSystemsのRussell Leftwichが、彼らの洞察を共有しました。 このディスカッションの中で、保険機関に対して、全体的な企業戦略の一環としての規制コンプライアンスに対する組織のアプローチについて調査を行いました。 調査対象者の33%は、「ボックスチェッカー(規制を遵守する者)」または「慎重な追随者」で、市場に追随しコンプライアンス基準を満たすために必要なことだけを行う者でした。 67%が「戦略的ポジショナー」または「リーダーでありイノベーター」で、明確な戦略のもとに事業を展開し、テクノロジーへの投資を厭わず、コンプライアンスを長期的な目標としています。 コンプライアンスを「チェックする」以上の戦略を採用することで、患者ケアにおける新たなアプローチ、市場における競争優位性、そして会員の健康状態の改善ができる可能性があります。
何から始めるべきか? FHIR導入によるイノベーション
FHIRの導入を通じて革新と差別化の機会を掴みたいと考える保険機関は、現在の業務を変革し、データリソースを近代化し、革新の機会を最大化することができでしょう。
この道を歩む組織は、3つの重要なフェーズで企業戦略を定義することから始めるべきです。 規制遵守の要件やタイムラインによってすべての決定を左右されるのではなく、包括的な相互運用性のアプローチを設計することが重要です。
保険機関の現在の取り組みについて調査の結果、多くの保険機関がが相互運用性のアプローチ計画の初期段階にとどまっていることが明らかになりました。 戦略的プランニングの取り組みがどの段階にあるかを尋ねたところ、38%がフェーズ1の評価・分析段階にあると回答しました。 回答者の46%が第2段階の意思決定段階にありました。 調査対象者のうち、アプローチを実行するフェーズ3にいるのはわずか15%にすぎませんでした。
コンプライアンス戦略を策定していない保険機関にとっては、着手するための時間を無駄にすべきではありません。 相互運用性と事前承認の最終規則の報告要素は2026年1月に開始されます。 API要件の完全遵守は2027年1月までに義務付けられており、CMSは今後、施行に関する詳細を発表する予定です。 規制の実施とコンプライアンスのガイドラインに対応するため、保険機関は、まだ着手していないのであれば、2024年初頭には戦略的計画策定に着手すべきでです。 評価と分析の段階を、2024年後半には意思決定に移行すべきで、それにより、2025年にはビジネス・パートナーとの複雑な新しいプロセスの実行、実装とそのテストに集中できるようになります。 この時間軸があれば、貴社と貴社のチームは、更新され近代化されたデータインフラを活用する革新的な戦略を開発し、その効果を実感し始めることができます。
戦略的FHIR導入による変革の可能性
新しい相互運用性規制は、保険機関が会員の縦断的データ記録を所有し共有する意向を示しています。 会員が異なる組織で受けた医療経験を統合して見ることで、その会員をより総合的に把握することができます。 保険者がFHIR APIの実装と並行して、縦断的なデータ記録に連携し戦略的に投資することで、会員の健康管理、医師の関与、アウトカムの測定といったアプローチを変革する機会をもたらします。 保険者は、患者ケアと臨床ワークフローの改善を目的とし、FHIR APIを活用するイニシアチブから学ぶことができます。
- ロードアイランド州では、FHIR APIが、医療機関がオピオイドを多用する集団の痛みをより安全に管理できるよう、縦断的なデータオーバービューを提供するように設計されています。 ロードアイランド・クオリティ・インスティテュートは、HIEのデータを利用して、患者の慢性疼痛を管理する医療従事者のための実用的な情報の単一ソースを作成しています。
- ニューヨーク州北部では、医療情報ネットワークHixnyと社会サービスプロバイダーHealthy Allianceが提携し、臨床医が患者の社会的ニーズを評価、追跡、治療をしやすくしています。 Hixnyの包括的な患者記録にはFHIR APIが含まれており、患者の社会的履歴と病歴を並べて表示し、医師が紹介を行えるようになっています。 APIは推奨するソシアルサービス紹介を作成し、地域の社会サービスネットワークに接続し、最終的にHealthy Allianceが結果データをHixnyと臨床医に送り返して、紹介のワークフローが終了します。
CMSが現在義務付けている以外のプロジェクトにFHIRをすでに使用しているかという質問に対して、「はい」と答えたのは37%に留まっています。 回答者の3分の2近くが、要求されているもの以外のFHIR APIアプローチの構築にはまだ着手していないが、技術革新の可能性に対しては、強い関心を示しています。
保険者は、一般的に長期間にわたって個々の患者との関係を維持しているため、データを収集・集約する上でユニークな立場にあります。 患者にとって縦断的なデータ記録の有用性を最大化するための投資は、イノベーションと健康アウトカムの永続的な改善には絶好の機会です。 相互運用性への戦略的アプローチを構築し、社内外のリソースを活用することで、今後何年にもわたって価値を提供し、保険者はFHIR実装要件を満たすために最大限の努力をすることができます。インターシステムズは、FHIR実装への道を歩む 保険機関をサポートします。 業界をリードするテクノロジー、実装をサポートする専門家、カスタマイズされたアプローチにより、私たちのチームとのパートナーシップは成功への基盤を築きます。