HL7 FHIRに関するインターシステムズの取り組み

HL7 FHIRは、ヘルスケア分野における相互運用性とアプリケーション開発の未来です

HL7 FHIR®（Fast Healthcare Interoperability Resources）は、米国のHL7協会によって開発された医療情報交換のための新しい標準規格です。この規格は「医療のためのWeb」とも称され、異なるシステム、データベース、デバイス間で医療データをリアルタイムにアクセスし、共有することを可能にします。HL7 FHIRを使用することで、臨床医は電子カルテや診療情報、検査結果、薬歴、アレルギー情報など、必要な医療情報を迅速かつ正確に照会し、活用することが可能となります。

HL7 FHIRの主な目的は、医療分野における相互運用性の問題を解決することです。これにより、異なる医療機関やベンダーのシステム間での情報共有と連携が容易になり、医療の質の向上と効率化が図られます。また、一般的なWeb技術を利用して医療情報を管理することで、より多くの医療機関でのデジタル化、データ交換、地域医療連携や医療DX（デジタルトランスフォーメーション）の実現が加速します。

日本では、厚生労働省によるHL7 FHIRの推進もあり、国内の医療情報共有システムの標準として注目されています。この新しい標準規格の普及により、患者に対して最適な治療を提供することが可能となり、医療のアウトカムを改善することができるしょう。

関連ページ： FHIRとは: 相互運用性の進化

医療データ相互運用に求められるもの

電子カルテの普及や医療技術の進歩により、患者の治療に利用できるデータ量が指数関数的に増加しています。またデータソースの数も増加しています。しかしながら、これらのデータにリアルタイムでアクセスし、効果的に利用することは容易ではありません。医療データがより広範囲に分散し、圧倒的な量になるに伴い、相互運用性がより重要かつ困難な課題となっています。現在の医療システムは、単一のアプリケーションから複数のシステムのデータにアクセスすることが困難となっています。このような状況を改善するためには、異なるシステム間でのデータの互換性とアクセスの容易さを向上させることが必要です。

関連ページ：医療におけるDX推進とは？

FHIRによるリアルワールドソリューション

FHIR（Fast Healthcare Interoperability Resources）は、異なるシステム間の垣根を取り払い、必要な情報を必要な人に必要なタイミングで提供することを容易にします。

また、医療データの相互運用性を高めるための規格であり、医療情報システム間でのデータの共有を容易にし、医療プロセスの合理化と自動化を支援します。これにより、医療従事者は患者ケアにより多くの時間を割くことができるなど、医療現場や患者に対して多くのメリットをもたらします。ここでは、FHIRによる医療データ活用の具体的なメリットを4点紹介します。

・リアルタイムでの医療情報更新
FHIRを使用することで、患者の主要な医療情報をすぐに更新することが可能で、医師が最新の情報に基づいて迅速かつ正確な治療決定を行う支援をします。例えば、英国のNHS Digitalでは、FHIR APIを通じて外部ソースからの重要な患者データを病院のEMR（電子医療記録）にオンデマンドで取り込むことができます。

・イベント通知
FHIRメッセージングを利用することで、臨床イベントの通知が可能になり、医療従事者や保護者が重要な医療イベントについてリアルタイムで情報を受け取ることができます。これは、予防接種や定期的なスクリーニング検査など、患者の健康管理において非常に重要です。

・治療のスムーズな移行
FHIRを使ったメッセージングは、医療機関同士や治療施設間での情報交換を促進し、患者の治療移行をスムーズに行うことを可能にします。これにより、退院時や救急外来時などにおいて、患者の情報が迅速に共有され、連続したケアが確保されます。

・薬剤管理の向上
FHIRは薬剤管理のための新しいアーキテクチャを導入し、薬剤情報の交換をより意味のあるものにします。これにより、異なる医療機関間での薬剤情報の一貫性が保たれ、投薬ミスなどのリスクを減少させることができます。

FHIRの導入は、医療の質を向上させるだけでなく、患者の安全と治療結果の向上に直接的に寄与します。この規格により、医療データの共有と活用が前例のないスピードと精度で行われるようになり、最終的には患者の健康増進に貢献します。

インターシステムズのHL7 FHIR サポート

・HL7 FHIRを使う
「InterSystems FHIRで構築する」サンプルや演習を体験できるサンドボックスを用意しました。例題と演習問題に沿って、InterSystems FHIR の仕様を確認、体験することもできます。導入を検討されている方におすすめです。

・インターシステムズラーニングサービス
FHIRリソース・ガイド(アカウント登録が必要) では、インターシステムズ社の製品、オンライン・コース、ドキュメント、およびプレゼンテーションで FHIR の詳細情報をご覧いただけます。

・インターシステムズ開発者コミュニティ
FHIRリソースに関する情報を提供しており、FHIRを使用している開発者と、FHIRを使用したソリューション開発について理解を深めたいと考えている人のためのグループです。インターシステムズのテクノロジーを使用したFHIRの実装に関する質問に対する答えを見つけたり、ディスカッションを行うことができます。

HL7® FHIR® 関連開発者向け情報はこちらをご覧ください。