MSC社(Mediterranean Shipping Company)は世界第2位の海運会社で、その保有船舶は毎年270もの港で船積み、通関処理された1,200万以上のコンテナを輸送しています。
輸送とそれに関連するプロセスチェーンの処理は複雑です。悪天候やストライキなど制御不能な事態の影響を受けるほか、原産地証明書や権利証券、運送状、船荷証券、商業送り状、税関送り状、梱包明細書など、大量のデータと情報を伴います。ジュネーブにある中央のITシステムは、毎日300,000件超のトランザクションを電子的に処理、検証する必要があります。MSC社は、この膨大な量の情報をリアルタイムで処理し、顧客がWebベースのTracking and Tracingツールを使用して貨物の現在の輸送状況を把握できるようにすることで、管理にかかるコストを削減し、事業を効率化することを目標に定めました。
物流管理の自動化が課題
輸送部門では、ルートと計画はコンテナと各種書類で指示されます。サプライチェーンが長いため、ストライキや嵐、書類の紛失、追跡担当企業のミスなどの外的要因によって、変更が繰り返し発生する可能性があります。このような理由から、現在の輸送状況を把握し、計画外の変更が生じた際にシステムで論理的に判断を下せる管理の自動化が必要になります。「船舶輸送は輸送全体およびサプライチェーンのごく一部にすぎませんが、きわめて重要です。当社を信頼して荷物を預けていただいた多くの顧客は、彼らの企業活動を計画するために正確な現在の配送情報が必要です」とMSC社のe-ビジネス開発マネージャRumen Lilov氏は語ります。
「このため、顧客に配達予定時間を知らせることは、当社にとって重要なのです。特に、港で荷受けされてから、目的地までの間の時間は重要です」
既存の技術では要件を満たすことは不可能
MSCが使用していたリレーショナルデータベースでは、設定した目標を達成できませんでした。大量のデータを管理し、リアルタイムで処理、検証して、MSC社の世界中の代理店ネットワークや顧客がTracking and Tracingを使用して遅延なしにデータを使用できるようにすることはできなかったのです。これを実現可能なソリューションを探しているときに、MSCはインターシステムズのデータプラットフォーム技術にたどり着き、MSCはこの技術の厳格な適正評価を行いました。
6か月でコスト効率良く開発と実装を完了
「インターシステムズのデータプラットフォームと、そこに組み込まれた拡張性と信頼性の高いSQL互換データベースには、EDIエンジンを含め、必要な統合機能とレポート機能がすべて搭載されています。また、柔軟性が高く汎用性に優れたモデリング機能により、迅速な開発が可能です。たった6か月で目標を達成することができました」とRumen Lilov氏は語ります。「このユニークな技術は、IT業界最高の秘密です」
MSC社は、データをリアルタイムで処理し、明確なワークフローで利用可能にし、世界中の顧客に貨物の正確な輸送情報を提供し、その情報をEDIエンジンに統合できるようになりました。貨物はインターネット経由でリアルタイムに追跡できます。Tracking and TracingシステムにはメールとRSSによるアラートが統合されているため、MSC社の顧客は常にコンテナのすべての動きをアクティブに把握することができます。
周辺システムの統合に成功
このソリューションは、会社のITシステムと周辺システムに完全に統合されています。また、データはリアルタイムに処理されるため、EDI経由で転送された各地のMSC代理店の間違いを迅速に検出して場所を突き止め、適切な方法で修正できます。
こうした間違いには、論理的ではない行動、日付や時間の期間、間違って記録された仕向港や倉庫、手順の二重入力などがあります。これらの間違いはMSCの代理店に自動的に転送されるので、現地でただちに対応して間違いを修正できます。データは、中央で検証、処理された後、MSC社のバックボーンに直接転送されます。代理店はMicrosoft SQL Serverフレームワークを使用してデータにアクセスし、さまざまなアプリケーションでタイムリーに使用することができます。
「選択したソリューションを使用して、さまざまなプロバイダの最善の要素を結集することができました」とRumen Lilov氏は語ります。「また、インターシステムズのサポートは素晴らしいものでした。サポートを必要とした問題はわずかでした。それぞれの要望について、担当者は課題をすばやく把握し、目標志向型のソリューションを提示してくれました」
ダッシュボードによって必要なときに「ジャストインタイム」で分析を提供
MSC社はインターシステムズの組み込みビジネスインテリジェンス技術を使用し、すべての在庫の最新状況をダッシュボードで世界中の代理店に提供しています。現地オフィスがジュネーブのオフィスにその場しのぎのレポートを要求する必要はなくなりました。各オフィスのレポートとテンプレートを使用して、固有の要件を満たすことができます。